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著者ラリー・バークダルが妻へのクリスマス・プレゼントとして書いたものを自費出版の形で世に出したところ、とくに宣伝をしたわけでもないのに読んだ人の感動が人から人へと伝わっていき、短期間に3万5千部を販売。自費出版としての驚異的な記録を作った作品。その後、1997年にアメリカの大手出版社であるゴールデン・ブックス社よりハードカバー版が刊行されている。他にペーパーバック版と、David Hunter による朗読カセットも販売されており、幅広い年代に読まれている。
9歳の少年が経験した早春からその年のクリスマスまでという、短い間ではあるが忘れられない日々を、大人になった著者が回想するかたちで書かれている。 |
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主人公のハニバルは9歳の少年。交通事故で両親をなくした一人っ子のハニバルは、アイダホ州にひとりで暮らす祖父の“ポップ”と暮らすことになった。祖父は優しくて温厚で話し上手。夜になるとハニバルにユーモアをまじえた話をしながら両親のいない寂しさをやわらげ、同時に人生の知恵を授けていった。
あるとき、猟銃を撃ってみたくてたまらないハニバルは、眠っている祖父のポケットから弾を盗み、一羽のナゲキバトを撃ち殺してしまう。祖父は、巣に残された二羽のヒナのどちらかを選び、撃つように促した。遺された父鳥だけでは二羽は育てられないからだ。うそをつくこと、生きものを殺すこと。好奇心から起こしてしまった事態に、罪の意識に心を痛めるハニバル。そんな孫に対して祖父は、そうした行為のもつ深い意味と、責任は自分自身でとらなければならないことを伝える。
ハニバルに課せられる試練はさらに続く。そのたびに祖父は時に優しく、時に厳しく、生きていくために大切なことを教えた。ラストシーン、これまで祖父が語ってくれた話の全てがつながり、祖父の秘められた過去が明かされる。祖父がハニバルに伝えた「生きていくうえで大切なこと」。祖父の人生の重さを知ったうえで感じる、彼のことば一つひとつにハニバルは、そして読者も衝撃を受けるとともに強く心を打たれることだろう。 |
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