【著者紹介】 |
原作者:ジャン・ジオノ(Jean Giono) |
1895年、南フランス、プロヴァンス地方マノスクに生まれ、生涯をこの町ですごす。16歳で銀行員として働きはじめるが、1914年、第一次世界大戦に出征。1929年、処女小説「丘」がアンドレ・ジイドに認められ、その援助により出版。ジオノが生活したプロヴァンス地方は、ローマ時代の遺跡ものこる風光明媚なところとして知られるが、気候は厳しく、アルプス山脈からふきおろす冷たい北風が有名な土地でもある。作品の多くはそんなプロヴァンス地方を舞台に、自分の体験をもとに書かれている。この作品も自らの体験をもとに、20年以上におよぶ草稿づくりを経て、1953年に書きあげられた。その後、ヴォーグ誌に発表され、少なくとも12カ国語に訳された。主人公の名エルゼアールは、いにしえのヘブライ人の予言者、賢者からイメージをとり、ブフィエは巨人が息をプッと吹く、あるいは雲のようにふくれあがるという意味が隠されているという。ジオノは、その生涯に30冊以上の小説、エッセイ、映画シナリオ等をのこし、1970年、マノスクで死去した。 |
画家:フレデリック・バック(Frederic Back) |
1924年、ザールブリュッケン(現・ドイツ領)に生まれ、フランス、アルザス地方で幼少の時をすごす。1937年、パリに移り絵画とリトグラフを学ぶ。1949年、カナダに渡りカナダ国営放送に職を得る。1968年よりアニメーションの製作に携わり、以来、8作品を制作。主な作品に「クラック!」(1982年アカデミー賞短編映画賞)「木を植えた男」(1987年アカデミー賞短編映画賞)がある。本書はこの短編映画をもとに、絵本として新たに描き起こし、構成した作品で、「クラック!」(あすなろ書房刊)に続く2冊目の絵本である。制作にあたりバック氏は次のように語っている。『私は15年以上前にはじめてこの物語を読み、深く感動しました。その後、読み返すたびに同じ感動を覚え、そこに盛り込まれている多くの要素を感じとったのです。この物語では、自分の仕事に打ち込んだ男の献身的な働きぶりが語られています。その男は、それが行なうべき重要なことだと知っており、自分の長年にわたる努力が、将来、大地とそこに住む人間にとって有益であると確信して、何年も無償の行為を続けていくのです。彼は大地がゆっくりと変化していくのを見るだけで、十分幸福でした。それ以上のものを、彼は望まなかったのです。この物語は、献身的に働くすべての人びとに捧げられるとともに自分の手で何をしたらよいかわからない人や、絶望の淵にある人には心強い激励となるでしょう』 |
訳者:寺岡 襄(てらおか たかし) |
1937年、東京に生まれる、東京大学教養学部卒業。訳書にW・H・グッドイナフ「文化人類学の記述と比較」(共訳・弘文堂)エレン・ハワード「ジリーの庭で」(ほるぷ出版)等がある。
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